VOL.5 魚島の定置網漁を訪ねて 魚島村漁業協同組合

爽やかな風が吹く五月、瀬戸内海の小さな離島を訪ねた。

「まず、出荷の様子を見ていってください」

そう語り出したのは、上島町魚島村漁協、村上専務理事。

国内外に店舗を持つ「くら寿司」さんが魚島の魚を直接購入し、

大阪にある直営の魚屋で販売を行っているらしい。

「定置網にかかった魚をキロ単価で買ってくれるから

エイとか売り物にならなかった魚もお金になるんよ」

なるほど、だから魚種ごとに

水揚げした魚の重さを測っているのか。

その日の売上げも自分でわかるから、やり甲斐もあるし、

天然魚を安定して出荷できる魚島という

愛媛屈指の漁場だからこそ可能な仕組みでもあるな…。

産地と消費地をつなぐ、新しい流通の試みというわけか。

見事な手さばきで、出荷する様々な魚の血抜きをする漁師たち。

「漁師自らが絞めた美味しい魚を出荷する付加価値の高い漁業!」

撮影しながら、そんな言葉が浮かんだ。

そんな事を考えながら取材を続けていると

幻の高級魚マナガツオの姿が…。

「せっかくやから、獲れたてをご馳走しますよ!」

村上さんが、神経抜きで絞めたマナガツオを

三上組合長のご自宅で刺身にしてくださった。

とろけるような極上の刺身は、忘れられない味になった。