VOL.4 愛南カツオ一本釣り漁を訪ねて 愛南町愛南漁業協同組合

五月の昼下がり、愛媛県最南端の漁港を訪ねた。

「うちのカツオは『日帰り』だから新鮮な味わいよ!」

そう語り出したのは、愛南漁協の中須賀課長さん。

鮮度の秘密は、一本釣りにあるらしい。

東日本に多い引き網漁法で獲るカツオに対し

一本釣りで獲る四国のカツオ。 

しかも、前夜に出航し、朝に一本釣りしたカツオを

昼にはここ、深浦漁港に水揚げしているのだとか!

これが「日帰りカツオ」と言われる所以だ。

「やはり一本釣りは魚体がキレイで活きがいいですよ」

そう話しながら、

中須賀さんは一本釣りに使う疑似餌を見せてくれた。

針に返しがないことを疑問に思っていると、

 

「魚がかかると釣り上げて、そのまま船に放り込み、

その反動で疑似餌を目の前の海へ戻すためなんよ。効率的やろ!」

と釣竿も見せてくれながら、答えが返ってきた。

そうしているうちに、早くも競りの声が聞こえてきた。

 

まだ昼間だ。なるほど、この漁港と同じ愛媛県内にある松山で

鮮度が命!のカツオの刺身が食べられる訳だ。

話をききながら、船のある場所から漁協の建物に戻ってきた。

「せっかくやから、食堂も覗いて行ったら?」

という中須賀さんの一声で、漁協に隣接している市場食堂へ。 

もちろん、ここならではの美味いカツオの刺身を堪能し、

心も体も満腹気分で取材を終え、帰路についた。