五月の昼下がり、愛媛県最南端の漁港を訪ねた。
「うちのカツオは『日帰り』だから新鮮な味わいよ!」
そう語り出したのは、愛南漁協の中須賀課長さん。
鮮度の秘密は、一本釣りにあるらしい。
東日本に多い引き網漁法で獲るカツオに対し
一本釣りで獲る四国のカツオ。
しかも、前夜に出航し、朝に一本釣りしたカツオを
昼にはここ、深浦漁港に水揚げしているのだとか!
これが「日帰りカツオ」と言われる所以だ。
「やはり一本釣りは魚体がキレイで活きがいいですよ」
そう話しながら、
中須賀さんは一本釣りに使う疑似餌を見せてくれた。
針に返しがないことを疑問に思っていると、
「魚がかかると釣り上げて、そのまま船に放り込み、
その反動で疑似餌を目の前の海へ戻すためなんよ。効率的やろ!」
と釣竿も見せてくれながら、答えが返ってきた。
そうしているうちに、早くも競りの声が聞こえてきた。
まだ昼間だ。なるほど、この漁港と同じ愛媛県内にある松山で
鮮度が命!のカツオの刺身が食べられる訳だ。
話をききながら、船のある場所から漁協の建物に戻ってきた。
「せっかくやから、食堂も覗いて行ったら?」
という中須賀さんの一声で、漁協に隣接している市場食堂へ。
もちろん、ここならではの美味いカツオの刺身を堪能し、
心も体も満腹気分で取材を終え、帰路についた。