VOL.10 四国の西の玄関口を訪ねて 八幡浜漁業協同組合

西日本有数の規模を誇る

八幡浜市水産物地方卸売市場を訪ねた。

朝五時半、辺りはまだ薄暗いが

市場は威勢のいい仲買人や 

漁師が集まりにぎわっている。

長靴に履き替えた後、

案内してくれたのは

市場部の武内光二さん。

まずホタルジャコのトロ箱が

並んだところに連れて行ってくれた。

八幡浜ではホタルジャコを

「ハランボ」と呼ぶのが普通らしい。

八幡浜港は県内唯一の、

二隻で一つの網を曳く

「トロール漁業」の基地で、

宇和海は豊富な海の幸の宝庫である。

残念ながら出港した後で、

トロール船は見られなかったが

八幡浜の伝統的なスタイルで

これからも街を潤していく。

販売部の川口勝也さんに

市場全体を案内してもらった。

一面に並ぶトロ箱に

様々な魚介類が並んでいる。

数ある魚の特徴を

教えてもらっているうちに

競りが始まった。

ぞろぞろと仲買人たちが集まり、

競り人の声が響き渡りだした。

仲買人たちは隣に見られないように

上着の陰で値段を示しながら、

水揚げされたばかりの魚を

次々と競り落としていく。

水揚げ量は昔と比べて減ったというが、この活気が市場の見所だ。

いつのまにか空は明るくなり、

漁に出ていた船が帰港した。

「昨日はマグロが取れたけど、

今日はちょっと残念やったなー。」

漁獲量が減少しても、

家庭の食卓に並ぶ

新鮮な魚を届けるため、

今日も笑顔で前向きに漁を続けていく。