一月の早朝。四国の南にある漁港を訪ねた。
「うちのブリは天下一品の味わいよ!」
そう笑って語り出したのは、久良漁協の本多さん。
その秘密は漁場にあるらしい。
愛媛県の最南端に位置する久良漁協の養殖漁場。
わずか数キロ南方には黒潮が回流しているそうだ。
「波が穏やかな宇和海と黒潮がうなる太平洋の恵みが久良のブリ!」
と本多さんは語る。
この海域では、年間の最高水温は二十八度近くまで上昇するが
冬季には十六度くらいまでしか低下しないため、
年間を通じてブリの生育環境として最適らしい。
話を聞いている間に、港を出た船が沖合の養殖場に到着。
バシャ!バシャ!と水しぶきの音が聞こえる。
そこには、網からはちきれんばかりのブリが!
ブリは、夜明けとともに船上で手際よく活け締めされていく。
この手際の良さが、ブリの出荷量日本一と言われる所以か。
「すぐ帰らず、昼まで待っておいき。面白い写真撮らせてあげるよ」養殖場から港に戻った時、本多さんが言った。
再び船に乗り、朝と同じ養殖場で目にしたのは、ブリの餌やりの瞬間に現れたカモメの群れだった!